「足腰と頭の強い、世界に通用する浅川研」

●「足腰の強さ」
すぐにモノを観る,実験する,工作すると言う動きの速さ&現場,現物を重要視する姿勢
●「頭の強さ」
簡単にあきらめない,執念深く追求すると言う姿勢
●「世界に通用する」
隣にいる学生との競い合いではなく ,世界の若者に伍して活躍していけると言う意味を表しています


研究室人員 (2011年度)


研究内容概要

力学と材料学をベースとして新しい生産・加工プロセス,新しい機械材料の研究開発に取り組んでおります.
すなわち,自動車,鉄道,航空宇宙,電子電気機器,産業機械を構成する重要機械部材の力学的・材料学的に
最適な生産・加工プロセスを究明することにより,部材の高機能化,高強度化,高精度化を推進中です.
地味な研究ではありますが,実際には産業界の屋台骨を支える基盤的・先端的技術でり,多くのテーマが民間企業,
公的機関との共同あるいは受託研究となっております.
現在の研究中の内容はこちら⇒


過去の研究

◆生産現場での活用をめざした棒線孔型圧延FEM解析システムの構築

FEM(3次元有限要素法)の基礎知識が無くとも,工場現場の技術者がパソコンのGUI画面の簡単な操作により,
棒・線を延伸させる孔型圧延(国内で約1千万トン・5千億円/年)の変形(幅広がり,ひずみ)や
負荷(圧延荷重・トルク,圧力分布)状態を算出・表示することができるシステムを東大,および鉄鋼メーカとの
共同プロジェクトで開発致しました.
現在このシステムを当研究室で応用し棒線圧延における「倒れ」の解析を実験と併せて研究しています.

◆棒線引抜きにおける寸法効果に関する研究・棒線引抜きにおける残留応力低減の研究

産業の基盤素材である棒・線の引抜き材は,その引抜き工程で発生する材料表層の引張り残留応力が
真直性を悪くしたり,機械部材としての疲労強度を低下させたりする原因になっております.
そこで特に磨き棒鋼(約1百万トン・2千億円/年)を対象にダイス形状,引抜き条件と残留応力の関係を追求し,
塑性加工における残留応力の低減,さらには圧縮残留応力を積極的に付与する部材の研究を推進中です.
2001年度,South East Asia Iron Steel & Steel Institute(オーストラリア)およびWire Association International(米国)
で講演発表致しました.

◆棒線形材における高精度矯正の研究

OA機器,精密機械,自動車用に使用されるシャフト(約50万トン・1千億円/年)には高い真直性が要求されています.
これを真直化させる手段にスキュウさせたロール間で材料を回転させる2ロール矯正法が広く用いられておりますが,
現状は作業者の経験と勘に頼っています.これを弾塑性理論に基づいたロールプロフィールを創形し,
匠と経験の世界から技術と理論の世界に戻し,高真直なシャフトを供給する生産技術を確立することを目指しております.
第6回国際塑性加工学会(ICTP・ドイツ)で発表致しました.

◆細線の高真直化の研究

また昨年より電子材料に使用される100μm以下の極細線の真直化ならびに形材の矯正に着手致しました.
これにより条材の矯正・真直化の総合的研究に発展させて行くことが可能となりました.

◆特殊オーステナイト鋼のひずみ誘起変態を利用した磁気記録材の開発研究

特殊なオーステナイト鋼(非磁性)にひずみを与えるとマルテンサイト化(磁性)することが知られています.
これを利用してひずみ誘起変態しやすい特殊ステンレスに一定間隔の凹凸を付けた工具で圧印すると
局部的にマルテンサイト化し,磁気目盛りが形成する方法を考案中.
加工ひずみ量と変態の関係を基礎的に解明するとともに,建設機械の自動運転,
自動車・鉄道のアクティヴサスペンション等産業界の自動化,システム化に際し,
確実性の高い低コストな磁気目盛りを形成する技術を追求しています.
2001年度Wire Association International(米国)で講演発表致しました.

◆高張力鋼板を用いた成形加工の研究

通常の40キロ級から120キロ級の高張力鋼板はスプリングバックが大きく実用上のプレス成形が
きわめて難しくなっております.
そこで一発必中設計を狙い,弾塑性理論に基づいた型設計法や材料割れを防ぐ工程設計に重点を置き,
自動車のバンパ補強材をターゲットに曲げの実験的研究および弾塑性解析(静的陽解法)を継続しています

◆静的陽解法弾塑性FEMによるチューブハイドロフォーミング成形特性に関する研究

自動車の軽量化策の一環として,静的陽解法によるハイドロフォーミングの解析的研究に着手いたしました.

◆線材におけるデラミネーションの研究

◆非対称断面の形鋼の曲げに関する研究 


今後の展望

機械工学は,産業社会に役に立つことでその価値が評価される学問である.
企業の規模を問わず産業界 と共同による研究を一層推進していく.
約30年の実戦経験によると,産業界で活躍している技術者の共通点は,
基礎・基盤の学問をしっか り身につけ,それに立脚した独自の思考を展開できることにある.
そのため,大学に於いてはゼミ・卒論 ・修論時の学生とのディスカッションにより,曖昧さの排除,
工学的センスの涵養,独自性発揮の環境設 定としてその追求に努めたい.
また産業界の人材を研究生として受け入れ,リフレッシュ教育と産学連携を図って行きたい.